生理面は、自律して機能していて、生存の基礎であり、人生の根拠に相当する。
 知能も備わっていて、生きていることがどういうことかは、誰でも直に経験し続け相応の学習もするわけですから人生の理由に相当する。
 感じ意識し、記憶を参考に識別し思考し、学習し上達し、見えない約束やルールや法則なども理解でき、理解し合え協力し合え信頼し合い尊重し合えるようにもなる。
 経験や学習や思考や理解、ゆえの信頼や尊重や愛や幸福、それらは売買は不可能だ。
 以上の、普遍的なことや誰にでも共通することが、当ブログのテーマです。
 けれども、進化や自身が形成された経緯や生命生理などは、通常は知らない。
 誰でも共通な知能や経験や学習や理解に関することでも、理解するとは限らない。
 知らないことは想像もするし、自分のことでも勘違いし思い込みもする。目を奪われ心まで奪われ、自分を見失い人生も見失い、そうであることに気づけなくさえなる。
 好みや価値観は百人百様になる。
 普遍的ではなく、共通でもなく、異なることほど、理解し合うことは難しくなる。
 理解し合えず、私利私欲を貪り、相殺し競争で優劣を決め、転嫁し暴力で片づける。
 非理解、非協力、非信頼、非尊重、そういう非知的なことは避けたい。
 つまり、自律して機能している生理面は高度で絶妙な秩序に基づいて成立している。
 が、経験し学習し理解する内容は、限られ、偏りもし、錯覚や間違いや勘違いや思い込みもあり、隠蔽も抹消も偽装も捏造もし、知能を誤用もし悪用さえするようになる。
 そうであることは、マスメディアが発達した現代では歴然としているわけですから。
はじめに 更新2013/01/21
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「悟り」とは 2016/12/27
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カテゴリ : 草稿:読み切り

思惑

 
「ほとんど聞かなかった、お前の話は」
「……まあな」
「いつも俺が話すばかりだった」
「それでいいんだよ」
「お前の話も聞かなきゃ」
「その気持ちだけで十分だよ」
「ちゃんと聞くよ」
「そう言われても、話すこと無いんだ。
 だから、いつも聞くだけだったわけだし。

 誰にでも、知能は備わっているわけだし……
 誰でも、赤ん坊の頃、知らなかったことを憶え始めるわけだし……
 誰でも、練習相応に上達もするわけだし……
 誰でも、基本動作や日常会話などは熟練する……

 知らなかったことを憶えたわけだから、俺は、知っていることも限られている。
 この身体が形成された頃のことも、知らない。
 自身の内臓なのに、見たことすらない。
 呼吸器系だとか、循環器系だとか、消化器系だ、免疫だ、などと言われ、それらによって生きていることになる。それらこそが自身なのに、具体的なことはまったく知らない。
 病気になっても、自分が生後に憶えたことでは、どうすることもできない。
 老化に対しても、なす術が無い。
 死でさえ、拒否できない。否応なく受け入れるしかない。
 死ぬことによって楽になるのだとも考えられるが、心の準備ができていないと至上の苦悩(葛藤)を余儀なくされることは経験済みだ。
 だから、他の生き物を食ってでも生きている。
 残念だが、まだ心の準備もできていない。
 それでも、やがては死ななければならない。
 死ねば腐敗が始まる。
 翌日、焼かれ、灰にされる。
 これらのことは、生後に習得したことが実に無力で実際にはいかに無能かを物語っている。しかも、隠し偽りようが無いことばかりだ。
 かつては、こんなことすら知らなかったからこそ、劣等感を抱いていた。

 備わっている各感覚器官や意識や記憶力も、それらで構成されている知能も、どうして形成されたのかさえ、自分は知らない。
 知能が備わっていることによって、識別でき、思考でき、目には見えない理由や法則などを理解することもできる。
 偶然の積み重ねで、こんなに都合よく進化できるものだろうか。
 この知能では捉えることができない何者かの意思に因るのではないのだろうか、とさえ思う。

 知能が備わっていたことによって、知らなかったことを憶え、知能を活用するようにもなったのだが、錯覚もある。
 知らなかったことを憶える性質上、当初は曖昧だが、曖昧なままのことが圧倒的に多い。
 何かを思い浮かべてみるだけで分かるが、記憶自体も曖昧だ。
 インスタントコーヒーを準備し始めたばずだったのに、考え事に気を取られて、ウイスキーを注いでいたこともあった。
 ウイスキーのお湯割りの準備を始めたつもりだったが、考え事に気を取られて、インスタントコーヒーを入れる寸前だったこともあった。
 そろそろ始まる気象情報を見ようと思ってテレビの前に立って待っていたのに、考え事をしているうちに、気象情報が終わっていたことは珍しくない。だから、気象情報はネットで見るようになった。
 勘違いしているのに、そうであることに気づかないこともある。それが勘違いの特徴でもある。
 根拠も理由も無いのに、そうだと決めつけ、そうだと思い込み、その無理にさえ気づけなかったりもした。
 自分の考えや判断が間違っているのに、どこが間違っているのか、どう間違っているのか、そんなことさえ分からなくて困ったりもした。
 だから、惑わされやすい。暗示にもかかる。騙されもする。
 高度な知能なのに、誤用もするし、悪用さえし、自分で困ることをさえしてしまう。
 見栄を張ろうものなら、思い込まされて翻弄されているに過ぎず、愚かなことでしかない。
 優越感を抱こうものなら、悪魔の罠に嵌ったに等しい。

 経験や学習や理解の性質上、その内容は、個人毎に千差万別になり、信頼し合える相手は限られるが、個人的にでさえ選択に迷ったり決めかねたりもする。
 損するより、得をしたい。
 苦労するよりは、楽をしたい。
 不都合なことは、知られたくない。
 不利だと思うことは、認めたくもない。
 思い出したくないことは、考えさえしない。
 自分に都合よく、自分に有利にしたいとも思う。
 上辺だけ繕いもする。言い訳も言う。嘘だって言う。
 だから、他を咎める資格は無い。が、批判視し憤慨する。
 肝心な自分を見失う。自分の人生を見失ってしまう。
 なのに、見抜けないだろうと侮って、騙し欺き、そんなことで慢心しようものなら、すでに狂気と紙一重だ。そんな面も、自分にはある。だからこそ、分かる。

 いずれも、いつのまにか繰り返し練習したからこそ、随意にできるようになり上達もし熟練さえしたことだ。
 誰でも、赤ん坊の頃から知らなかったことを憶え始め、練習相応に上達もするわけだし、観察したり確かめたりするほど詳しくもなるし、基本動作や日常会話などは熟練さえするわけだから。
 もちろん、備わっている知能を、誤用していたことになり、悪用さえしていたことになる。
 理解力もあるからこそ、己の異常さにも気づく。そのとき、すでに限界を超えていればこそ発狂もするのだろう。
 そんなことは、早目に減らしたいし改善したい。
 思考力も理解力もあるんだから。

 だから他人に対して言うようなことは何も無い。
 こういうことは個人的なことなんだから。
 自分が努力するしかないんだから。
 そこに意義があるわけだし」

「もっと早く、お前の話を聞くべきだった」

「でも、俺は、自分を取り戻す必要がある。これは個人的なことだ。
 好みや価値観は、個人毎に違う。
 見栄を張ることは愚かなことでしかないという考えも、あくまでも俺の場合だ。
 そうであることに気づいたから、あえて見映えは悪くしたりして、理解や改善に取り組み、より具体的に理解できた。
 愚かなことも、具体的に理解するほど明らかになり、おのずから止めるようにもなり、むしろ抵抗があってできなくもなる。
 社会には馴染み難くなったが、見栄を張らなくなっただけ、生活は楽になった。
 雷同し迎合さえしていた頃には、それゆえに理解できなかったこともあったことを知り、そんなことも理解できるようになった。
 上辺だけ繕うことは、騙し欺く類であり、露呈を恐れたり更に繕うことを余儀なくされる。が、そうであることも、具体的に理解するほど自覚も容易になり、随意に止められるようにもなり、あきらかに精神的には余裕ができた。
 具体的に理解できたことは、具体的に肯定や否定ができるようになっただけに、そういう点では自信さえある。
 思考力も理解力も適切に発揮されていることになる。

 そもそも精神面が要なのだが……
 相応のことを知っているか否かに左右される考えや気持ちに関することだ。記憶にあることを参考にした考えや気持ちに関することでもある。考えるだけで理解できることでもある。
 学歴や資格は要らないし資金も必要ない。
 つまり、もともと誰でも理解可能なことだ。
 いわば路上生活をしてでも理解可能なことだ。
 むしろ、誰も介入できない世界でもある。
 真の自由な世界なのだと思っている。
 むしろ、目を奪い心を奪い私利私欲を貪ろうとすることには、当然に興味が無くなりつつある。
 ただし、すでに惑わされやすく騙されやすくなっているだけに、とても影響を受けやすい。その点は、十分な注意が必要だ。

 お前の振る舞いも、反面教師だが参考にさせてもらっている」

「……俺、愚かだったんだ」

「俺だって、無知で愚かだった。
 でも、思考力や理解力があるからこそ、気づく。大事なのは、こっちの方だ。
 あまりにも無知だったからこそ、むしろ、すっかり一人前になったような気がしていた。
 尤もらしく見せかけ、優れているかのように競争して見せ、私利私欲を貪っているに過ぎないのに、そんなことも見抜けなかった。
 だから、目を奪われ、心まで奪われた。
 つまり、肝心な自分を見失った。
 人生までも見失っていた。
 翻弄されていた。

 そんな経験上、見抜けないだろうと侮って騙し欺いて慢心することは狂気と紙一重だったことに気づいた。
 気づいた当初は大変だった。が、だからこそ、具体的なことを理解することができた。
 個人的な世界というよりも、更に内面の世界なので、これこそが自信なのだと納得し実感するようになった。
 個人的なことであり、本人の意思しだいなことだからこそ、意思の重要さというより意思の真価を実感することもできた。

 この身体は、どこかの名医が創ってくれたものではないんだから。
 この知能も、どこかの天才が創ってくれたものでもない。
 むしろ、彼らにも到底創れないものが、誰にでも与えられている。
 生存上必要なことは環境から摂りいれる必要があるが、人生上の重要なことは本人にすべて与えられていると考えられる。
 誰でも、自分自身を理解することで、生存上の真価を理解できるようにできていると考えられる。

 本来は、そうだった。
 そうだったことを理解し始めたわけだから、本来は体験でき発揮できるはずなのに、まだ未理解で未発揮で未体験なことがあるはずだと思うようになった。
 経過を基に察すると、心の中が整理されたり爽快になるようなことであることは間違いない」

 
カテゴリ : 草稿:読み切り

取扱説明書


「プリンターには異常は無い」を元のままにし、
「取扱説明書」に改題後、再編集した当記事を新投稿記事にしました。
 内容は、以下のようなイメージにしました。 2013/04/01

登場人物:彼女こと田中真知子は……
 必要なことを知ろうともしないし、状況把握もしていないし、自分の考えの無理や矛盾も把握できていない。
 つまり、頭の中だけの、先入観を基にした想像に囚われ、想像ゆえに的外れな勘違いし、思い込んでいる。
 そんな非現実的なことを基に振る舞うから、現実で不具合が生じる。

登場人物:私こと俺は……
 必要なことは知ろうと探し確かめ、現状把握や目の前の事実を優先する。そのために、その他の想像の類や余計なことはむしろ振り払う。
 が、かつては、彼女のようだった。
 自分の考えの無理や矛盾も把握できないがゆえに葛藤までし、そんな無知や愚かさを思い知り、その事実関係を理解したことによって、意識改革が実現した。
 つまり、理解したことは自覚できるようになり、自分の記憶にあることを投影しているに過ぎないことも自覚でき、自覚できるからこそ自制も可能になった。

要は……
 知らない場合と知っている場合の違いです。
 経験・学習・理解内容・情報処理・振る舞い・結果などの基本的なことは共通だが、その基本上の情報は個人毎に異なる。
 いわば、あるメーカーの同じ型のPCを使っていても、個人毎にソフトウエアや使い道は異なる、それと同じようなものだ。
 ただし、人は、気持ちや考えなどを言葉で言い表せるし、それに基づいた言動や行動もでき、相応の結果も伴うだけに、それらに関することも理解できる。その相違を、極端な例で対比させてみました。
 
 
 なお、野暮用の忙しさが本格的になりました。
 また、不幸の知らせもありました。
 限られたことに集中することも難しくなってきているため、しばらくの間は優先的に行うべきことに集中します。 あしからず




 
 
 昼寝中、電話が鳴った。
 母専用電話のようなものなので、階下で母が出る。
 が、私にだと言う。
「はい。替わりました」
 田中真知子だった。町内会の特別な部会の事務をやってくれている。
「プリンター、使えないんですけど」
 真知子という名前自体は好きなのだが、会うたびに、彼女の横柄な態度は気になっていた。
「説明書、見た?」
「見てません」
 説明書無しでは使えないものが多くなった現代は、説明書だけでも売買されている。
「プリンターの上に説明書を置いてあるだろ?」
「見なかったけど」
 知らず出来もしないのに、知ろうともせず、説明書も見なかった……
 つまり、すでに勝手なことをしちゃったということか……
 平然とした口調は、自分が間違ったことをしちゃったかもしれないとも思っていない……
 で、俺に電話した。
 ということは、俺が行ったセットアップに問題があったとでも言いたいのか!
 それは、違う。俺が、そんな勘違いをしたことがあった。それをいま思い出し、それを投影したに過ぎない。
 しかも、そんな勘違いで、よく失敗したからだ……
「俺、今から行くから」

 プリンターの、購入とセットアップは私が引き受けた。
 使用に関しても、1年間は責任を持つ覚悟をした。

 が、早々にこれじゃ……
 俺も、まだ一度も使っていないのに……

 自分がやった場合は、どこをいじったら、どうなったか分かっている。だから、解決もしやすい。
 そうして、知らなかったことを憶え、相応のことを随意にできるようになった。
 むしろ、そういうことを、幼い頃ほど多く経験し、身を守る動作なども憶える。
 会話でさえ、辻褄が合っていないと、納得できなかったり疑問を抱いたりする。
 不完全な道案内だと、目的地に到達できなかったりする。
 だから、不明な点は、必要なら訊ね確かめる。
 事前に最小限のことを知ろうともするようになり、必要なら練習もするようになる。
 損や事故は避けたいから、教習所に通い続けてでも、知識や技術を習得したりもする。
 詳しく憶えたことほど、誤りやミスの修正も容易になり、着実に成果をあげられるようになる。
 仕事だとなると、必須なことだ。
 そんなこと、彼女は知らないのだろうか。

 
 
 昨年の春。
 町内会の役員が来て、「順番がずれて、早めに回ってきたけど……」云々と言う。
 10年ほど前までも町内会の役員だったが、役員になってくれる人がいなかった。なので、順番制を提案したのは私だった。そして、私が辞めた後、順番制になった。
 その順番がきたとなると、私は回避できない。

 組織会では、前回の6年間は庶務だっただけに、自ら申し出て今回も庶務をやることになった。

 が、個人的な自由時間は貴重だ。惑わされがちだっただけに、いまだに貧乏暮らしで、もう齢だからこそ。
 前回のように、可能な限り、集会所に行かなくても、自宅で町内会の用を足せると都合がよい。

 でも、前回の役員当時に使用していたDOSパソコンもプリンターも、役員から解放された後で処分した。
 B4レーザープリンターは残したかった。確認もした。が、前回、役員から解放される前年の暮に新たに購入したWindowsパソコンでは使えなかったからだった。
 以降、ホームページやブログが主になり、プリンターは不要になった。
 その後、写真を始めた際に買ったA3ノビまで印刷できるインクジェットプリンターはあるが、使わなくなってから数年も経っている。インクの調達が可能かも不明だ。文字主体の印刷だと品質は良くない。印刷に要する時間も長い。

 町内会で事務所にしている集会所には、以前に庶務をしていた当時、役所から譲り受けた立派なコピー機がある。が、プリンターではないので、パソコンとはつながらない。
 近年、購入したというノートパソコンもある。10万円だったことになっているが、インターネットにはつながっていないし、アップグレードもされていない。
 A4インクジェットプリンターもあるが、印刷が必須な町内会としては無駄遣いをしたようなものだ。

 そうこう考え、ネットで、A3レーザプリンターを探した。
 なんと、送料込みで1万2千円以下で売られている。発売後、年数は経っているが、現行品。10年ほど前にまで使っていたレーザープリンターより、高性能で、販売価格は5分の1以下。
 これがあれば、一々集会所に行かなくても、自室で深夜でも早朝でも使える。それが、1万2千円で可能になるのなら安いものだ。
 それを個人的に購入し、自室で町内会の庶務の用を足し始めた。
 
 
 前回、役員をやっていた頃のことを思い出すことも多くなった。
 それ以前のことも、思い出すようになった。

 かつて役員を引き受ける前、意識改革が実現していた。

 不都合だと思うことを隠し偽ると、相手は見抜けないだろうと侮ることであり騙し欺く類のことだけに、更に隠し偽ることを余儀なくされ、つまり悪循環に陥る。
 しかも、隠し偽ると、その事実関係を、自分でも理解できなくなり、未理解なことは自覚できず自制もできないので当然に改善もできない。だからこそ、悪循環の深みにも陥る。
 疑われ嫌われ信用を損なうことを自ら行うようなものでもあるだけに、葛藤を余儀なくされる。
 それゆえの葛藤だと分かった。理由が分かっただけで、葛藤から開放された。
 識別力や思考力や理解力や予想力もあり、日常的に発揮しているからであることも分かった。
 自分が考えていること(情報処理)に関しても、具体的に理解するほど、自覚も容易になり、よって自制もできるようにり、そういうものだったのだということも分かった。
 好きなものを食べ、好きな音楽を聴き、見たいもの見て、考えたくないことは考えず、思い出したくないことは避け、憶えたくないことは練習しない。そんなことも、学習したことだと分かった。

 そもそも、知らなかったことも憶えることができ、できなかったことも練習相応に随意にできるようになれる。
 繰り返したことは、詳しくなり、上達もする。それゆえに、癖など間違ったことも学習してしまうわけだが……
 観察し、確かめ、試し、そうしたことほど詳しく憶え、細部の認否や可否や是非の判断も正しくできるようになり、よって誤りやミスは減少し、着実に好結果を出せるようになる。
 それが、仕事上では、儲けになる。
 だからこそ、尊重され、考えも取り入れられ、信頼され優遇される。
 そんなことも、具体的に理解するほど、自覚も容易になり、実践も可能になる。

 そういう体験上、確かめもしない的外れな想像や根拠も理由も無い思い込みや先入観は批判視して自制し、事実確認を優先して学習に関する知識や考えに基づいた生き方に移行した。

 文章化し、それを自分で分かりやすく整理することで、理解は深まることを知り、文章化することが促進された。

 カットアンドペーストが容易なワープロ専用機では、文法的な学習も促進された。

 自分の知能に関する取扱説明書を自分で書いているようなものだった。

 まさに、知らなかったことを憶えることができ、詳しくもなれ、相応のことが随意にできる。
 精神面に関しては、本人だけが直接知りえ、本人は何よりも詳しく理解可能な条件が整っている。むしろ、未理解だと、葛藤も余儀なくされる。つまり、知らなければ困ることの最たるものでもある。

 でも、パソコンは、俺には無理だろう。そう思ってしまう。
 当時は高価だっただけに、無駄遣いも避けたかった。
 けれども、知らなかったことも憶えられ、できなかったことも練習相応に随意にできるようになれる。その可能性こそ、図り知ることが不可能なほど広大だ。自分の可能性も豊かさも、まだ未知の世界に埋もれている。それを発掘しないなんて!
 何でも憶えられるわけではないが……
 パソコンは、自分は使えるようにはなれないのか、それともなれるのか、そのいずれも確かめたわけではないし、事実でもない。
 つまり、無理だろうと思うのは、単なるイメージを基にした想像に過ぎず、根拠も理由も無い先入観でもある。
 意識改革はできたが、まだ不完全だった。自分で心を開くことができたが、まだ半開きだった。
 本当はどうなのかは、実際に確かめるまでは分からない。
 先入観を打開できば、事実が明らかになり、更に心は開き、意識改革は更に確かになる。
 それを確かめるためにも、パソコンを買った。
 販売店で「セットアップしてやる」と言った。が、それじゃ無駄遣いになってしまう。
 説明書を信じて、自分でセットアップに取り組んだ。
 2~3日後、とりあえず使えるようになった。
 間違が判明するたびに、知らなかった本当のことを知り、確かなことを憶えていった。
 繰り返しただけ、詳しくなり、使い方も上達した。

 知らなかったことを憶えることができ、繰り返すだけでも詳しくもなれ、相応のことが随意にできるようになれた。
 内面的な考えが中枢である精神的なことことを理解するには、自分自身こそが無二の実験動物なのだと実感した。

 マクロプログラムも書くようになった。
 が、プログラム自体は短いのに、バグ取りでは幾夜も徹夜した。
 それは、自分の知識や考えに無理や間違いや矛盾があるからであり、それを自分で探して自分で修正することにほかならなかった。
 そうだと気づき、かつては自分の考えの無理や矛盾を把握できなかったがゆえに葛藤を余儀なくされただけに、マクロプログラムに没頭した。

 パソコン関係は、パソコン雑誌の広告に出ている安価なものを通販で購入するようになった。
 勝手な想像や先入観を抑え、説明書を見て、自分でセットアップすることはあたりまえになった。
 自分は知らなくても、説明書にはセットアップ方法は順序よく書いているだけに、セットアップできなかったことは一度もなかった。
 
 
 意識改革を、更に確かにするためには、対人的なことや社会的なことを実践するしかないと思うようになり、社会への適応を試み始めた。

 その数年後。
「町内会の役員を、やってくれる人が誰もいない。おまえ、やってくれないか」
「俺でも憶えられることや出来ることなら……」
 ということで、初めて町内会の役員も引き受けたのだった。
 当時は、マクロプログラムを使った通信販売の真似事もしていただけに、その使い慣れたDOSパソコンで、町内会の用も足した。だから、ほとんど自宅でできた。

「誰もやってくれる人がいない。もう1期、頼む」
 それも引き受けたが、役員の順番制を提案した。

 役員6年目、結果的には最終年度になる12月に、Windowsパソコンを買った。
 翌春、町内会の役員からも解放された。
 その後、古くなったDOSパソコンも処分した。
 しがらみも振り払いながら、人生の的も絞り始めたのだった。
 
 
 そして、更に10年目になる昨年、今度は順番制により町内会の役員をやることになった。
 プリンターを自費で購入し、前回と同様に、自室で町内会の庶務の用を足していた。

 夏が近づき、使用中のWindowsパソコンも10年目になることが、気になりはじめた。
 でも、個人的には間に合っている。
 が、町内会の庶務の用を足すとなると、安心はできない。
 パソコンは個人的に欠かせない。1年か2年後には、新しいものを買いたいとも思っていた。
 夏になり、やる気も取り戻せるかもしれないとも思い、分割払いでパソコンも買った。
 オーナーメードで10万円以下の構成にしたが、10年前に購入したパソコンの値段の4割以下だ。
 が、性能は比較にならないほど優れていた。
 むしろ、順調には使えるようになれなくなっていた自分の老化を実感させられた。
 秋の農繁期が過ぎ、冬になり、やっと本格的に使うようになった。

 予定通りにはいかないまま、正月は過ぎた。

 2月下旬になり、ある団体の総会開催通知が来た。
 それは、町内会でも総会の準備をする時期が近づいたという知らせのようなものでもあった。
 
 
 町内会の総会の資料は、コピーで間に合うものはコピー機を使いたい。
 が、立派なコピー機は、寒いときだけなのか、少し怪しくなっていた。
 当てにはしていないが、A4インクジェットプリンターも、最近、不調だと言う。
 そんなわけで、プリンターを町内会で購入するよう、私が提案した。
「A3、白黒、レーザーなら、1万数千円で買える。それで十分だ」
 ところが、できればカラー、予算は5万円以内、ということに役員会で決まり、あとを庶務の私に任せた。
 早速、ネットで探した。
 A3、カラー、レーザープリンター、発売後の年数は経っているが現行品で、メーカー希望小売価格15万円弱の品が、町内会の予算よりも数割も安く売られていた。安いリサイクルトナーも豊富に売られている。メーカーのサービスセンターも、利用する病院や大型店がある生活圏内にある。
 それを購入。

 翌日から大雪が続き、翌々日の2月20日、雪の晴れ間に、そのプリンターが届いた。
 安かっただけに、受け取った後のことは、すべて購入した側でやらなければならない。
 まず、集会所に搬入し、会長に報告して都合のよいときに確認をしてもらうことにした。

 現行品だが、発売後の年数が経っている。
 町内会のパソコンは、インターネットにつながっていない。
 最新のドライバにするためのプログラムは、自分のパソコンでダウンロードした。

 連日の大雪の仕上げをするかのように、23日から吹雪になった。
 2月24日。吹雪が収まらない。総会開催通知が来ている団体の総会が、集会所で開催される日でもある。
 その団体の役員でもある会長は、集会所にある、開梱されているが随所にテープが貼られたままのプリンターを、遅くてもこの日には確認する……
 除雪を優先した私は、重要ではないその総会は欠席した。

 2月25日。
 説明書を見ながら、順に、プリンターから梱包用のテープを剥がして梱包財を取り除き、カラートナーを順にセットし、ドライバをインストールし、通常使うプリンターに設定し、A4用紙をセットし、説明書にあるテスト印刷をして総プリントページ数がゼロであることを確認し、メーカーのホームページ中の当プリンターのページをカラー印刷して、セットアップを完了した。

 2月は、数日短いだけなのに、今年は特に過ぎ去るのが早かった。

 3月4日。
 昼寝中に電話が鳴り、そのプリンターが使えないと言う。

 
 
「オフラインなので、オンラインにしようとしたんだけど……」
 一見、謙虚だが、いつもの横柄さを彼女に感じた。
 俺の、老化に伴う劣等感なのだろう……
「オンライン?」
「そう」
 そんなこと、わざわざやるか……
「普通は接続すればオンラインになるだろ……」
 接続できていることをオンラインって言うんじゃないの……
「……」
 見ると、プリンターケーブルはUSBに接続されている。
 でも、USB接続で、もたもたして接続に失敗したことがあった……
 接続できていないのなら、パソコンではオンラインにできない……
「USBケーブルをつないでから、プリンターのスイッチをONした?」
「よく憶えていませんけど」
 そう言った彼女は、パソコンの画面を見たまま、一向に振り向かない。
 都合が悪いことは、言わないのか……
 ま、俺にもそういう一面がある。それを投影したに過ぎない。
 でも、法律上の黙秘権にも、疑問を感じる。

 解決するためには、自分で原因や理由を探すしかない。
 ケーブルは、すでにつながっている。
 パソコンで彼女が何をやっているかは、気にしなくていい。
 それだけ確認し、プリンターの電源をOFFにした。
 ケーブルの接続具合を確認しなかったが、駄目だったら、そのときに確認すればいい。
 少し待ってから、プリンターの電源をONにした。
 コンカン
 プリンターの接続を認識したというパソコン側のサインだ。
「オンラインになったと思うけど?」
「え……」
 彼女はパソコンの画面を見ている。
「あ、はい。準備完了って……」
 プリンターはウォームアップをしている。
「普通にやれば、あとのことはプリンタードライバなどがやってくれるように作られている」
「……」

 こんな初歩的なことも、彼女は知らないのか。
 なのに、説明書を見なかったと言った。
 つまり、彼女は、安易な想像を頼り、いわゆる知ったかぶりをしたのだろう……
 ま…… 俺も、ついやったりする。
 が…… それこそ、損をしたり事故を起こしたりする理由でもある。
 足元にあるのは、今はゴミだが、輸送中に壊れないようにするため梱包材やテープなどで、セットアップの際に取り外したものだった。
 説明書が無いと、これらの梱包用のテープを取り残したり中の梱包材を取り残したりする。そんな状態で起動しようものなら、セットアップを完了しないうちに壊してしまいかねない。
 初めて見たこのカラーのプリンターでもセットアップできたのは、説明書を見ながら順にやったからだ。
 でも、俺が言うことなんか、余計なお世話だろう……

 脳裏を駆け巡る思いは瞬時だ。が、言葉にする行程で遅くなる。丁寧に文章化すると、更に遅くなる。
 プリンターのウォームアップも人が行うよりははるかに早いのだろうが、カラーだからなのか、白黒よりは時間がかかる。
 その、ウォームアップも完了した。
 
 
「なにか、印刷してみれば。なんでもいいから」
「……」
 ピーピー
 エラーの赤ランプ点滅
「え? 印刷もできないのか! 」
 なぜ? 接続できていなかったのに……
 彼女の机のほうに近づきながら訊ねた。
「どこか、いじった?」
 と言い出しながら、不都合なことは彼女は言わないだろうとも思った。
「用紙が横向きだったから、縦向にセットし直したけど」
 答えたことも意外だったが、その答えの内容にも驚いた。当然だと言わんばかりの口調や態度にも驚いた。
 接続ができていなかったのに……
「なんで、そんな(余計な)……ことを?」
 彼女は、プリンターの前に行き、用紙トレイを引き出して、こっちを向き、これ見よがしのポーズをした。
「だって、普通はこうじゃない」
 横向きは間違いだと言わんばかりに豪語し彼女は、勝ち誇ったような笑顔をしている。
「A3まで印刷できるプリンターは、A4の用紙は横にセットする。縦よりも横のほうが短いから印刷スピードが速いだろ」
 表情を失った彼女は、用紙トレイを押し戻した。
「大差ないじゃん」
 負け惜しみ言うなよ。
「印刷スピードは、セールスポイントとして欠かせないだろ、プリンターなんだから」
「というより、いま印刷できなかったじゃん」
 それ…… まえが言う台詞じゃないだろ…… しかも偉そうに……
 印刷できなくなるようなことをしたのは、おまえなんだろ。
 接続できていないのに、パソコンでオンラインにしようとしたり、トレイの用紙の向きまで変えたんだから。
 やっぱり、彼女は、自分が間違ったことをしたからかもしれないとも思っていないのか……

 俺は、使えるようにしておいたのだ。
 セットアップ完了の確認のためにテスト印刷をして机の上に置いておいたものを、私は探し、それを手にした。
「これは、俺が、それのセットアップを完了した後に、使えるようになったことを確認するために、それでテスト印刷して、ここに置いていったものだ。俺は、A4用紙を横向きにセットしてあっただろ。あの状態で印刷したものだ。用紙を横向きにセットしても、こうして縦向きに印刷される」
 使えるようにしておいた証であるそれを、パソコンのキーボードの上に置いた。
 机に戻る彼女と入れ替わるように、私はプリンターの前に行き、トレイを引き出し、用紙を横向きにセットし直した。
「何か印刷してみて」
 ピーピー
 エラーの赤ランプ点滅
「ほら。横にしたって、できないじゃん」
 ざまあ見ろと言わんばかりの彼女の笑顔に、違和感を覚えた。

 彼女は、現状把握もできていない……
 プリンターのことに関しても、初歩的なことも知らないから、初歩的なこともできない。
 なのに、説明書は見ずに、知ったかぶりをした。
 だから、接続できなかった。
 接続できていないことも知らなかった。
 だから、パソコンでオンラインにしようとしていた。
 が、オンラインにできなかったから、また想像だけを頼りに知ったかぶりをして、用紙の向きを変えたりしたのかもしれない。
 いずれにしても、そうすれば印刷できなくなることだとも知らず、そういう心配もしなかったからだろう、相応のことを実行したことになる。
 だからこそ、印刷できなくなったし、解決もできなかった。

 まてよ!
 彼女、印刷できなくなっていることも、知っていたのか…… 自信たっぷりどころではなかった……
 だとすれば、接続も一度はできたということか……
 いずれにしても、不都合なことは知らん振りするつもりだったことは間違いない。

 でも、それを解決させために、俺に電話した。だからこそ、その原因なり理由を、俺は知ろうとしている。
 なのに、彼女は、不都合なことは知られまいとし、むしろ偽装さえし、解決しようとしている俺を阻害している……
 そうか! 結局、バレてしまうことに気づいたのか! 当然に、慌てた。が、すでに素直になれなかったのだ。だから、開き直り、強がったのだろう。だとすれば、偉そうに振舞う態度とも、ぴったり重なる。
 が、矛盾だらけだ。

 解決の手がかりは得られない上に、つい余計なことに気を取られた。
 本題に戻ろうとしても、セットアップして使えるようにした状態ばかりをイメージしがちだった。
「これはな、このプリンターの、メーカーのホームページの中の、このプリンターのページを、俺がUSBメモリに保存して、これをセットアップしに来た日に持ってきて、インターネットにつながっていないこのパソコンにコピーして、それを、このプリンターでカラー印刷したものだ」
 その、本来はインターネット上のメーカーのホームページを表示した。
「俺がしておいたようにA4用紙を横向きにセットしてあっても、この画面のここにプリンターのアイコンがあるだろ。これをクリックするだけで、ほかは何んにもしなくても、こうして縦向きに印刷される」
 ピーピー
「エラーか? これも印刷できなくなった! なぜだ?」
 不具合の理由を探る手がかりは、無くなった。
「ほら~。やっぱりできない」
 待っていたかのように笑い声高に言い放った口は開いていて、あ~っはっはと出そうだった声を彼女は噛み殺した。
 それ、おまえのほうが異常なんだよ。自分の考えや言動や振る舞いの矛盾も把握もできていないっていうことだから。
 そのままじゃ、俺に軽蔑されるよ。
 馬鹿タレ。
 そう言ってしまえば、楽なのだが……
 こいつを、傷つけることは本意ではない。
 プリンターも、不具合を直せば使えるようになる。不具合が生じたからと、壊してしまうのは馬鹿げている。
 こいつは、必要なことをさえ知ろうとしない。現状把握も、できていない。自分が間違っているのかもしれないとは思ってもない。むしろ、何様かのつもりでいる。
 それだって、俺にも、そういう一面があるからこそ分かる。が、俺は、そういう愚かさを、俺は分かっている。だから、そういうことには抵抗がある。こういうことを自覚できるから、自制もできる。
 が、こいつは、現状把握もできていない。把握できていないことは、自覚できないから、自制もできないだけなのだ。

 そもそも、知らないことや出来ないことや、予期しない結果は、意図的なことですらない。
 が、それを、不都合だとか不利だと思うことは、分別したことによる。まして、知られまいとし隠し偽ることは、考えによる意図的なことだ。いずれも、自覚してのことだ。
 しかも、相手は見抜けないだろうと侮り、騙し欺く類のことでもある。つまり、見知られれば困ることを行ったことになる。
 それらは自覚できることだけに、更に知られまいと隠し偽ることを余儀なくされ、隠し偽り騙し欺く類のことに囚われる、悪循環に陥る。
 つまり、もともとは悪意は無く意図的ですらなくても、知られれば不利だとか不都合だと思うことによって、隠し偽り、相手は見抜けないだろうと侮って騙し欺く類のことまでしてしまうために悪循環に陥り、犯罪でも犯したかのような様相を呈してしまうことさえある。
 また、自分で情報処理(考えて判断)したことだけに、根拠も理由も無くても無理や矛盾があっても疑問を抱かなかったりする傾向がある。むしろ、正しいと勘違いし思い込みがちで、過信さえしがちだ。
 しかも、習慣的なことは、その情報処理を、条件反射的な速さで行うようになる。分かっていることや、それに当てはまる情報処理は、言葉にするよりも早い。
 だからこそ、想像に過ぎないんだということを自覚できないと、事実だと勘違いし思い込みもし、何様かのつもりにもなり、相応の行動までしてしまう。
 つまり、自分の考えや振る舞いは間違っているかもしれないとは思わなくなる。

 でも、一見、自信たっぷりで誇らしげな態度だったが、明らかに無理を感じた。
 勝ち誇ったような笑顔にも、歪みを感じた。
 少なからぬ葛藤をしていることも、歴然としていた。
 つまり、隠し偽ることは、相手は見抜けないだろうと侮ることであり、騙し欺く類でもあり、嫌われ軽蔑されることを自ら行うことだったからだ。
 それゆえに、一旦、不都合なことを隠し偽り上辺を繕い始めると、更に偽装すること余儀なくされる。
 そんなことに囚われてしまうから、現状把握もできないし、自分の考えや振る舞いの把握は回避さえする。
 把握できないから、自覚もできず、自制もできず、相応の振る舞いをしてしまう。気まずいから、更に隠し偽ることを余儀なくされる。
 把握できないからこそ、次々と無理や矛盾が生じ、悪循環に陥る。
 それでも、自分の考えが間違っているかもしれないとか、自分の態度が間違っているかもしれないなどと思いわないのなら、指摘や言及は追い討ちをかけるようなことになり逆効果になる。

 ま…… いずれも、こいつに確かめようはなく、俺の想像に過ぎない。
 が、具体的なことは当たらずとも、こいつの言動や振る舞いが、そうであることを物語っている。パターン的には遠からずだろう。

 もちろん、こいつに分別力があることも、理性があることも、歴然としている。無理や矛盾は、状況把握もしない想像などの無理な分別によって生じるわけだから。
 その分別に、理性に背くような、無理や矛盾がある。
 備わっている知能のことも、すでに発揮している最も優れている面に関しても、こいつは知らないのだ。むしろ、自分で台無しにしている。

 もちろん、疑問を抱いてこそ、無理や矛盾も具体的に理解できる。理解したことは自覚できるようになり、自覚できることは自制も可能になるわけだが……
 そんなことを、こいつに理解させることは、至難だ。
 むしろ、都合が悪いことは知られまいとし偽装までしているこいつは、否認し、すね、いじけ、泣き、そして逆上してでも何様かのつもりを維持し、ますます悪循環の深みに陥ってゆく。
 それじゃ、俺も間違ったことをしたことになる。

「俺のプリンターも、A3まで印刷できる。俺のは白黒のレーザープリンターだが、A3まで印刷できるプリンターは、A4用紙の場合は横向きにセットしても、こうして縦向に印刷されるようにできている」
「でも、このプリンターでは、いま、実際に印刷できなかったでしょ」
 そんな言い方は止めろ。
「セットアップした段階では、A4用紙を横向きにセットして、これが印刷できていたっていうことだよ」
 この意味、分からないか。
「でも、いまは出来ないでしょ」
 そうしたのは、おまえだろっていうことだ。
「だから、要は、どうしたら出来なくなったのかだ?」
 おまえが、使えなくなるようなことをした、そのことだ。
「……」
 気づいたか?
 やっぱり、不都合なことは、認めたくないか! むしろ、考えたくもない、思い出したくもない、言いたくもないか!
 俺に心を開いてくれる必要は無い。すでに何もかも丸見えなんだから。そうであることも、知ろうとしないおまえが知らないだけだ。
 自縄自縛ともいえる悪循環に陥っていて不自由きわまりないはずだが、俺の脚を踏んだわけではないし、それもそれぞれの自由のうちなのだろう。

 まてよ!
 こういう場合…… 自分がしでかしたことの始末を他人にやってもらっているわけだから、しでかした方は普通は申し訳ないという気持ちになる!
 知らないなりにも、「わたしが、こういうことをやったから、こうなったのかもしれない」とか「ああしたのが原因だったのかもしれない」などと、解決に通じると思われることを知っている限り口にし、解決してくれている人を助けようとするし、解決することに参加する。
 申し訳ないという気持ちがあるほど、積極的に、そういうことをする。
 それが、こいつには皆無だ。
 それどころか、こいつは、知られまいとし、偽装することに捕らわれ、むしろ何様かのつもりで振る舞う。
 何様かのつもりなのだろうが、相応のものも皆無だ。

 セットアップしておいたことを実証することもできず、解決の手がかりも得られなかった。
 ふと、彼女を困らせてみたい気がした。用紙を、彼女がセットしていたように縦にセットした。
「おまえがセットしてたように縦にした。これで印刷してみな」
 ピーピー
「これだって、できないだろ?」
「……」
 なんだよ、その憮然とした態度は。
 的外れな優越感や、根拠も理由も無い独り善がりが、そんなに大事か。この状況では、愚かなだけだ。捨てちまえ、そんなもの。
 人は、もともと何様でもありえないのだ。そうであることを、今、おまえが実証している。

 ま…… 俺も大差はない……
 かつては、俺も、想像に過ぎないことにも気づけず、自分が考えていることの無理や矛盾も把握できなかった。
 かなり把握でき、自制も可能になったが……
 気象情報が始まるのを待っているうちに、他のことを考えはじめ、気づくと気象情報が終わっていたりする。
 何かをやろうとしているときでも、他のことに気を取られると、やろうとしていた肝心なことを忘れたりする。そうであることも忘れていたりするくらいで、気づくのはましなほうだ。
 何かの説明をしていたときでさえ、説明に夢中になって、何のために説明していたのかを見失ったこともあった。
 限られたことに集中することが精一杯になったことは確かだ。

 こいつも、肝心なことを知らないまま、知ろうともせず、むしろ余計なことに気を奪われているのだ。
 だから、歴然としていることさえ把握できない。
 つまり、勝手な想像に気をとられ、的外れなことを基に勘違いして何様かのつもりになっている。
 何様かのつもりだからこそ、肝心なことが疎かになる。

 そんな、解決の邪魔になることなんか、どうでもいい。
 俺に必要なのは、プリンターの不具合を解決する手がかりだ。
 セットアップは、いつも、説明書を見ながら順にやるだけで完了する。
 が、今は、こいつが、どんなことをしたことによって使えなくなったのかが不明だ。
 しかも、こいつからはヒントになるようなことさえ聞き出せない。
 その原因なり理由なりを、自分で見つけなければ、解決できない……
 これは、セットアップよりも難しい……
 解決しておかないと、後で俺が困るのだ。
 自分の考えで、自分がやるべきことを見失わずに、自分のペースで、俺はやる。

「もしかして、その故障した小さいプリンターに合わせて手差しに設定しているとかしてないか?」
 思いつくまま口から出た。
「してないけど」
「じゃ、文書のページ設定とかで、用紙のセットの縦横を設定しているか何かじゃないのか?」
「そうなのだったらさ、その設定も、ゼーンブし直してよ」
 やっぱり、逆上が。しかも、自分に都合のよいことを俺にやらせ、何様かのつもりを維持しようというわけか。
「そんなことまで、なんで、俺が……」
 何様かのつもりで見下す相手を、助長する馬鹿もいない。
「……」
 そもそも、俺は、余計なことを、おまえに、やらされている。
 でも、おまえに、協力しているわけではない。勘違いするなよ。
 俺は、責任上と、後で自分が使うために、やるべきことをやる。
 余計なことは、無視。
 こいつ用の取説は、無いんだから。
 とにかく、このプリンターを使えるようにしないと……
 集中、集中。

 ちょっと待て……
「メーカーのホームページも印刷できなくなった。ということは、文書側の設定とかじゃない……」

「ちょっと、俺に貸せ」
 彼女が確認した際に後ろから覗いていたのだが、プリンターのプロパティをまず確認した。
「メガネを忘れてきたからな……」
「……」
「こうして窓を背にしてパソコンを使うと、この画面が反射するし、見辛くないか? 」
「別に」
「あ、そう」
 反射による眩しさもあって集中は不完全だったが、プリンターに用紙を縦向にセットしてあるか横向にセットしてあるかに関する項目は、見当たらなかった。

 あとは、説明書を見るしかない。
 プリンターの上に置いたはずの説明書は、誰が片付けたのか、プリンターの傍の棚の上にあった。
 目次には、プリンターに用紙を縦向にセットしたか横向にセットしたかに関する項目自体が見当たらないが、気になる箇所に目を通した。
 やっぱり、探していることは見当たらない。
「こんなことは、俺にも無理かも……」

 何か気づくかもしれないと思い、用紙を横向きにセットし直した。
用紙を横向きにセットし直した

 俺のプリンターは、用紙トレイにセットした用紙の種類を、用紙トレイのこのあたり(前部の左端)にあるダイヤルで指定するが……
 このプリンターの用紙トレイには、相応のものは無い。そうであることは、セットアップした際に用紙をセットしたときにも確認した。

 プリンターの操作パネルを、確認。
 セットした用紙の向きを設定するような文字は見当たらない。
 メニュー…… こんなことをメニューで設定するか?
 というより、彼女はそんなことまでは…… 出来ない。

 ということは! 用紙が横向きにセットされているのか縦向きにセットされているのかは、このプリンターが判断しているのか!
 だとすると、センサーのようなものか?
 ということは…… あれか……
 彼女が縦にセットしてあった用紙を、俺が横にセットし直した際に、上下の用紙が少し横にずれていた。確かめると、用紙ガイドも途中にあって、所定の穴に納まっていなかった。
用紙が少し横にずれていた

 その用紙を取り出して、セットアップした際にもやったのだが各用紙の間に空気を入れ、端を揃えて横向きにセットし直し、用紙ガイドが穴に入ってカチッと決まる位置であることも確認した。
 でも、印刷できなかった。
 あの後で、彼女がしてあったように縦にした。あのときも、確かめながらカチッと決まる位置にした。
 それでも、エラーになった……
 そして、今、横向きにセットし直した。が、いずれも検知しなかった。

 が、いずれも、スイッチONの状態のままで用紙の向きを変えた……
 ということは、スイッチをONにする際に、トレイにセットされている用紙の向きをプリンターのドライバがチェックするのか!

 あれっていことはないよな……
 棚にあった説明書に手を伸ばしたら、プリンターの後部に、用紙トレイが少し突き出ていた。
用紙トレイが少し突き出ていた

 俺のプリンターはコンパクト設計なので用紙トレイは常に後部に出ているが、大サイズの用紙をセットする際には更に後部を引き出す。
 が、これにセットされている用紙はA4で、A4の場合は出ないはずだ。しかも、軽く押しただけで、直った。

 ん! いずれにしても、セットアップしたときと同じ状態に戻ったことになる。
 ということは、いけるか……
 一旦、プリンターのスイッチをOFFにした。
 そして、念のために少し待って、プリンターのスイッチをONにした。
 コンカン
 プリンターを、パソコンが認識した。
 ウォームアップも完了した。
「なにか印刷してみて」
「……」
「ん!」
 ピーピー鳴らず、プリンターが印刷の準備をしている。
「エラーじゃない。あ、いった」
 排出された紙には印刷されている。
「……」
「解決だ」
「……」
 その印刷されている紙を、彼女の前に置いた。
「ほら。もう、普通に使える」
「……」
 もの言わぬ事実こそ雄弁だ。

 解決したのに、おまえは気まずいか……
 やっぱり、おまえが気にしていることは、そっちの方か……
 そんなことは、俺には余計なだけだ。
 
 
 そもそも、接続できていなかっただけだった。
 プリンター自体も、セットアップしたときと同じ状態に戻しただけだ。
 分解したわけでもなく、道具すら使わず、私でもで解決できた。
 むしろ、プリンター上の不具合の原因だった箇所も、不確かだ。原因なり理由を見つけて解決したのだという確証も、無い。
 気になって、直した箇所は、二ヶ所あった。いずれかが原因だったのだろう。
 その確証は、後でゆっくり、俺のパソコン内にある説明書を見て確かめておく。
 
 
 俺は、知らないことや出来ないことばかりが多い。
 だから、二の次にしていることばかり多い。
 言い訳もし、口実を作って断りもするし、腹も立つし、強引な相手には反旗も突きつける。
 もちろん、痛い思いはしたくないし、損もしたくない。
 だから、自分が必要なことは、自分で相応の知識を得て、自分で成果を出す。そういう努力をするようになった。
 いまは、余計なことに頭を使わされただけに熱くもなった。が、的外れなことには憤慨せず、自分の責任上やるべきことを優先し集中できた。
 解決できたことが、その証だ。
 俺にとっては、意識改革が、ここまで確かになったという証でもある。

 貧乏暮らしで、齢だが、おまえに見下されたからといって、俺が馬鹿になるわけでもない。
 
 
 こいつには、むしろ、何も教えないほうがいいのかもしれない……
 知ったかぶりをすると、こういう困ったなるんだということは、具体的なことを知らないほうが自覚しやすいはずだ。
 そのほうが、同じことを繰り返されずに済む。
 もちろん、知ったかぶりをせずに、説明書を見て使えば、高度な活用も可能なのだと分かる。

 接続できなかったことにしても、用紙を縦にしたことにしても、普通に説明書を見さえすれば、ありえないことだ。
 初歩的なことも知らないのに、説明書も見ずに、いわゆる知ったかぶりをしたから、接続もできず、使えなかった。
 更に知ったかぶりをして、用紙の向きを変えたりしたのだろう。
 原因だと考えられるあの二ヶ所は、いずれも、だらしなかったことを物語っている。
 だらしなさに気づけなかったことこそが、だらしなさの証だ。

 それを、俺に探させ解決させた。

 そして、プリンターの不具合は解決した。
 なのに、おまえは喜べないわけだよな……
 不本意なのは、おまえの振る舞いや考えに無理や矛盾があったからだ。結果的に自分が困るような、振る舞いや考えだったということだ。
 不都合だからと否認すれば、その事実関係は理解できないし、未理解なことは自覚できないし、よって自制もできないので、また繰り返す。つまり、また、自分が困り、自分でも認め難くなる、そんなことを考え振る舞う。
 むしろ、肝心なことを疎かにし、上辺を繕って偽装したに過ぎなくても、満足もし勘違いして何様かのつもりにさえなる。
 馬鹿にすることこそ、無知で愚かなことの証なのだ。

 本来は、プリンターでも、不具合を改善しようと思えば、不具合の原因や理由や事実関係も理解でき、よって解決もできる。
 人の情報処理の仕方も考える内容にしても、詳しく理解するほど、そのことは容易に自覚できるようになり、よって自制できるようにもなれる……
 が、残念ながら、おまえ用の取説は無い。
 
 
 おまえが相手だと、喉も渇くが、飲み物も出そうにない。
 俺に対して、おまえが偉そうにできる要素や理由は、皆無だ。
 俺にとっては、おまえは余計なだけの障害物でしかなかったのだ。
 歴然としている状況把握もできなかったからこそ、俺を嘲笑った。あの表情は、異常どころか、俺の目には狂気に見えた。
 でも、おまえには見えなかったわけだよな。

 
 
「プリンターには異常はない」
「……」
 これなら、分かるだろ。
 これは、事実だ。
 おまえに分別力があることも、歴然としている。
 問題は、使えなくなるようなことをした、おまえにある。
 が、おまえの問題点までは、俺は解決できない。
 もちろん、おまえ用の取説は無い。

 罵倒も、場合によっては理に適っているわけだが……
 喧嘩は、両成敗される。
 つまり、喧嘩は解決する方法ではない。
 成敗も、荒立つことを一時的に静止するに過ぎず、解決しているわけではない。

 裁くことも、同じことだ。裁くことは、正義でもない。
 人は、知り理解することに因って、相応のことができるようになる。
 もちろん、錯覚もし勘違いもし間違ったことも学習するが……
 事実に基づいた具体的なことを詳しく知るほど、詳細な認否や可否や是非の判断も可能になり、間違いや勘違いは修正され、ミスは減少し、相応のことも随意にできるようになれるし、着実に好結果を出せるようになる。
 よって、相応の指導こそが、真の正義だといえる。
 それができないからこそ、裁いてしまう。だから、裁くことは、正義とは言えない。
 真の正義は、機械の場合でいうと取扱説明書のようなものだ。
 通常使用に特化していても、不具合の理由も分かるようになる。

 誰も傷つかずに理解でき解決できる方法を、俺も探してはいる。
 だが、残念ながら、まだ見出せない。

 何様かのつもりでいるわけだから、おまえは、そんなものは必要だとさえ思っていないよな……
 
 
 おまえは使うな。そう言いたいくらいだが、私物ではない。
「これからは、A4用紙は、横向きにセットすること。(知りもしないのに、説明書も見ないで、勝手なことはするな)いいか?」
「……はい」
「プリンターケーブルも、パソコンにつないでからプリンターの電源をONにすること」
「……はい」
 私物の中には、ONにしてからパソコンのUSBにつなげと指定されているものもあるが、なんだったか思い出せない。
「ONにしてからつなぐものもある。が、要は、USBに接続する際に、もたもたすると認識に失敗する可能性がある」
 彼女は、うなづいた。
「さっき、オフラインだったのは、そういう類のことだったはずだ」
「……」
 思い当たるんだろ……
「接続した状態で、電源スイッチをONにしたほうが確かだから」
「……」
「それと、不確かなのだが、接続できていることをオンラインと言い、接続できていないことをオフラインと言うはずだ」
「……」

 もう帰るしかない……
 だが、去り難い。
 思えば、隠し、偽りもし、巧みに偽装さえする。それを、彼女は、露骨に見せたようなものだった。
 結果的にだが、彼女は、愚かさも、醜さまでも、俺に見せたわかだから、心を全開したに等しい。
 それは、本来は、自分の精神面を理解しないと、随意にはできないことでもある。
 つまり、女が全裸になって男に身を任せ尤もらしく振舞うより、はるかに難しい。
 でも、結果的にそうなっただけだ。
 彼女が意図的にそうしたわけでもなく、その不具合の解決を望んでいるわけでもない。

 むしろ、俺が、自分の考えや知識が正しいか否かを、彼女で試して確かめたいのだ……
 これだけ歴然としていれば、容易な気さえする。
 が、そんな気がするだけだ。
 何様かのつもりになり、見下したとなると、それこそが無知で愚かな証なのだということを理解することは至難だ。
 だからこそ、自覚できず、自制もできない。
 もちろん、理解できれば、愚かなことは慎めるようになり、恥をかかずに済むようになる。
 それどころか、必要なことに専念できるようになり、この程度のことは自分で解決できるようにもなる……
 が、軽薄なことは、厳禁だ。

「知らないなら、説明書くらい見ろよ」
「あ、はい」
「誰が片付けたのかは知らないけど、ここにあるから」
「はい」
 聞く耳は持たないんだろうが……
 誰でも、知らなかったことを憶えることができ、相応のことを随意に出来るようになれる。
 想像はし放題だけに、的外れな勘違いもし、根拠も理由も無い思い込みもし、間違ったことも学習するするが……
 説明書を見て、分からない字がある場合も、自分で辞典で調べる。
 繰り返し、観察し、確かめ、試すほど、詳しくもなるし上達もする。
 自分で解決できるようになれば、他人に尻拭いをさせずに済む。それでこそ、そのことに関しては一人前なのだ。
 あとは、おのずから熟練してゆく。

「じゃ、帰る」
「これ、新品なの?」
 え? まだそんなことを!
「新品だ。ほら、ここにゴミみたいな物がある。これは、セットアップした日に剥がしたテープや中から取り出した梱包材だ。説明書を見ながら取り除いて、数の確認もしたから、数は説明書と一致している。アルミ色したこれは、新品のトナーが入っていた袋で、俺が開封したものだ」
「……」
「まだ確認していない役員もいるので、捨てないで残しておいたのだ。外箱も、俺の車庫にまだある」
「……」
 セットアップ後、最初に印刷した、プリンターの設定リストには総プリントページ数がゼロと印刷されているし、それも保管してある。

 そもそも、人が作った機械のことではなく、人という生き物同士なのに、そのことが分かり合えていなかった。
 直に見知ることはできない気持ちや考えも言葉にして伝え合えるのに、それさえできなかった。

 帰るしかない……
「じゃ……」
「……ありがとう」
 おまえに、そう言われても、ちっとも嬉しくねえよ。
 その言葉も、口先だけの偽装としか思えない。
 そんなに簡単に、改心できるはずがないんだから。
 自分の無知や愚かさや醜さを、より具体的に理解できてこそ、より確かな改心もできる。
 それが実現して、そう言ってくれたのなら、おまえの態度も表情も違うはずだし、俺は納得するのだが……

 このドアを開けて、さっきも入ったが……
 あいつは、「お願いします」とも言わなかった……
 そんなこともあっったから、いきなり横柄に感じたのだ。

 というより、俺こそ、彼女が出した課題を、解決し、一つ学習した!
 あんな場合は、理由や原因を探す前に、まずセットアップした状態に戻せばいいのだ。いわば、リセットすればいいのだ。
 学習したことは、一つどころではない。
 俺こそ「ありがとうございました」って言うべきなのか?
 そんなことを言おうものなら、あいつの愚かさを助長するだけだ。

 すべては、俺の想像に過ぎない……
 帰ろ、帰ろう。
 
 
 外に出た。
 上辺の汚れているであろう雪を払い除け、中のきれいな雪を一掴みして、乾いた喉を潤した。

 あ! プリンターのスイッチをOFFにしてから、USBケーブルを外せって言うのを忘れた……
 外すときだから、問題は無いか?
 ん! トナーは安くないから、A3やB版はコピー機の拡大や縮小を使えと言うのも忘れた……
 こんな寒い時期は、ウォームアップに時間を要することも……
 俺も、大差ない……
 でも、「説明書を見ろ……」とは言った。
 必要なことは、説明書に書かれている。
 
 
 でも、まてよ!
 今回は、壊れたわけではなかったから、道具すら使わずに、俺でも解決できた。
 が、俺が解決できない場合は……
 安く買っただけに、俺がサービスセンターまで運ばなければならない。
 梱包されていた箱には重さが50数キロと書かれていた。中身だけでも、確か40キロ以上ある。小さければ持ち運べる重さだが、かなり大きい。
 運び入れたときは、同僚に助けてもらった。

 やっぱり、重要なのは、プリンターを使えなくした、あいつのだらしなさにある!
 あいつの、だらしなさを解決しないと、また、俺が余計なことをやらされかねないのだ!

 あいつにも、人並みに目や耳も機能している。意識や識別力や思考力や理解力や予想力までも、発揮できている。
 それらは、経験し、学習したからこそ随意にできるようになったことでもある。
 やっぱり、あいつ自身のための取説こそ必要なのだ。

 今後、今回のような場合は、自己負担で解決してもらおう。

 上辺だけの見栄っ張りだの、強情なだけの女は、俺は嫌いだ。
 
 
 というより!
 俺が解決できなかった方が、あいつには都合がよかったのか!
 俺が解決したのに、あいつは黙り込んだ。
 俺が解決できなければ、あいつは小躍りしたっていうことか!
 申し訳ないという気持ちは無かったし、むしろ知られまいとしたことは確かだし、偽装までし、何様かのつもりで俺を見下し馬鹿にした。
 むしろ、結果が出ないうちから、俺を見下し馬鹿にしたわけだから、俺が解決できないと思い込んでいたのか。
 他人の不幸を喜ぶタイプだったのか、あいつは。
 だったら、黙り込んだ自分を、見下し嘲笑って喜べ。

 が、どれも、俺の想像に過ぎない。
 俺の天気予報は、実によく外れる。
 
 
 外れるといえば……
 まさか!
 全部、あいつが仕組んだ罠だったのか?
 俺を馬鹿にするために、俺にはできないだろうと思ったことを、あいつが仕組んで、その罠に嵌めようとしたのか?
 ……それは 無い。
 知らないのに、知ろうともせず、知ったかぶりをしたくらいだ。
 不都合だと思うことは知られまいとし、偽装を余儀なくされ、悪循環に陥っていた。
 だからこそ、あいつは、自分の考えや振る舞いの矛盾も把握できていなかった。把握できないから、自覚できず、自制できなかった。
 自分で考えて行ったことが、自分で困る結果になることだとも知らずに、実行したのだ。
 
 
 こんなときには、いつも思う。
 ああなる前に、気づくことができて、自分の考えの無理や矛盾を把握し改善できた俺は、やっぱり恵まれていた。

 だから、葛藤してでも改善に臨む人が好きなのか、俺は。

 すっかり遠くはなったが、あの日、気づかせてくれた子供たちの会話は、俺にとっては、まさに天使のささやきだった。
 
 
カテゴリ : 草稿:読み切り

プリンターには異常は無い


 当記事は、当初のタイトル「プリンタには異常は無い」のままにすることにしました。
 なお、「取扱説明書」に改題後、再編集した記事は新記事として投稿します。 2013/04/01

 
 
 昼寝中に、電話が鳴った。
 母専用電話のようなものなので、階下で母が出る。
 が、私にだと言う。
「はい。替わりました」
「プリンタが使えないんですけど」
「説明書、見た?」
「見てません」
 知らず、出来もしない。なのに、知ろうともせず、説明書も見なかった。つまり、勝手なことをしちゃった、ていうことか……
「プリンタの上に説明書を置いてあるだろ?」
「見なかったけど」
 今は、説明書だけでも売れる時代だ。
 説明書を見ず、勝手なことをしたのに、自分が間違ったことをしたかもしれないとも思っていないのか……
 むしろ、俺に電話をしたということは、俺が行ったセットアップに問題があったとでも言いたいのか!
 それは違う。俺が、そんな勘違いをしたことがあった。だから、俺がそう思っただけだ……
「俺、今から行くから」

 購入とセットアップは、俺が引き受けた。1年間は責任を持つ覚悟だ。
 が、早々にこれじゃ……

 彼女が、どんなことをしたのかが気になった。

 自分がやった場合は、どこをいじったら、どうなったか分かっているから、解決もしやすいのだが……

 知らないのに、説明書も見ないで、勝手にいじるなよな……
 
 
 順番がずれて、早めに順番がきた町内会の役員を、昨年の春からやることになった。
 10年前まで6年間の庶務経験があった私は、今回も自分で庶務を引き受けた。

 町内会の事務所にしている地区公民館には、以前に庶務をしていた当時、役所から譲り受けた立派なコピー機がある。が、プリンタではないので、パソコンとはつながらない。
 近年、購入したというノートパソコンもある。10万円だったことになっているが、とても認め難い品だ。インターネットにはつながっていない。
 A4インクジェットプリンタは、間に合わせで買ったと思われる安物で、印刷が必須な町内会としては無駄遣いをしたようなものだ。

 前回していたように、公民館に行かなくても、自宅で町内会の用を足せるように、個人的にA3レーザプリンタをネットで探した。
 なんと、送料込みで1万2千円以下で売られていた。
 これがあれば、一々公民館に行く必要は無いし、早朝でも深夜でもできる。それが、1万2千円で可能になるのなら、安いものだ。
 貧乏暮らしだが、それを個人的に購入し、自室で町内会の庶務の用を足すことになった。
 購入後10年目になる自分のパソコンも、安心できない。パソコンは個人的にも必要なので、夏に、パソコンも新しいものを買った。オーナーメードで10万円以下の構成にしたが、10年前に購入したパソコンの値段の4割ほどなのに、性能は比較にならないほど良い。

 そろそろ、総会の準備をする時期でもある。
 立派なコピー機は、少し怪しくなってきている。
 A4インクジェットプリンタも、最近、不調だと言う。
 そんなわけで、私が勧め、町内会でもプリンタを買うことになった。予算は5万円以内に決まった。
 それを、庶務の私に任せた。
 早速、ネットで探した。
 A3、カラー、レーザープリンタ、発売後の年数は経っているが現行品で、メーカー希望小売価格15万円弱が、町内会の予算よりも数割も安く売られていた。安いリサイクルトナーも売られている。メーカーのサービスセンターも、そんなに遠くない。
 それを購入した。
 大雪が続いたことで、そのプリンタは翌々日の20日に届いた。安かっただけに、配達後のことは、すべて購入した側でやらなければならない。
 まず、地区公民館に搬入し、会長に報告して都合のいいときに確認をしてもらうことにした。
 24日。地区公民館で、他の団体の総会があった。その団体の役員でもある会長は、開梱されているが随所にテープが貼られたままのプリンタを確認したはずだ。

 現行品だが発売後の年数が経っているだけに、自分のパソコンで、最新のドライバをダウンロード。

 2月25日。説明書を見ながら、開封し、セットアップを完了。

 今日は、3月4日。
 今日の昼に電話をしてきた彼女は、町内会の特別な会計をやってくれている。
 
 
「オフラインだったから、オンラインにしたんだけど」
「え? オフライン?」
「そう」
「接続すればオンラインになるはずだ……」
「……」
「USBケーブルをつないでから、プリンタのスイッチをONにした?」
「よく憶えていませんけど」
 そう言った彼女は、こっちを見ない。
 都合が悪いことは、言いそうも無い。
 彼女は、そもそも不具合の原因や理由を知らない……
 だから、解決もできず、俺に電話し、俺が来たのだ。

 自分が憶えていることを基に、思い当たることを、自分で確認して理由なり原因を見つけて解決するしかなかった。
 USBケーブルは、すでにつながっている。
 パソコンで彼女が何をやっているかは、気にしなくていい。
 それだけ確認し、プリンタの電源をOFFにした。
 そして、少し待って、プリンタの電源をONにした。
 コンカン
 プリンタを、パソコンが認識したサインだ。
「オンラインになったはずだけど?」
「え……」
 彼女は、パソコン上で確認している。
「あ、はい」
 こんな初歩的なことも、彼女は知らないのに、説明書も見ずに、いわば勝手なことをしたのか……

「なにか、印刷してみて。なんでもいいから」
「あ、はい」
 ピーピー
「エラーか」
「……」
「どこか、いじったところは?」
「用紙が横向きにセットしてあったから、縦向にした……」
 そう言い、彼女はプリンタの前に行き、これ見よがしに用紙トレイを引き出した。
「なんでそんな(余計な)……ことを?」
「だって、普通はこうじゃない」
 説明書も見ないで、知ったかぶりするなよ。
「A3まで印刷できるプリンタは、A4の用紙は横にセットする。縦よりも横のほうが短いから印刷スピードが速いだろ」
「大差ないじゃん。というより、いま印刷できなかったじゃん」
 おまえが偉そうに言う台詞か。おまえがやったことが原因かもしれないのだ。

 先日、セットアップ後にテスト印刷したものをデスクの上から見つけて、それを私は手にした。
「ほら、これ、俺がセットアップ完了後にテスト印刷したものだ。A4用紙を横向きにセットしてあっただろ。その状態で印刷したものだ」
 私は用紙を横向きにセットし直した。
「何か印刷してみな」
 ピーピー
「ほら。できないじゃない」
 こんなときに、おまえは嬉しくて笑顔になるのか。
 おまえが、説明書を見もしないで、たぶん知ったかぶりしたことによる不具合を、俺が解決しようとしているんだ。俺は、普通ならしなくてもいい余分なことを、おまえにさせられているようなものなのだ。この状況把握も出来ないのか。

「これは、メーカーのホームページ中の、このプリンタのページを、俺がUSBメモリに保存し、セットアップしに来た日に持ってきて、ネットにつながっていないこのパソコンにコピーして、このプリンタでカラー印刷したものだ」
 そのネット上のメーカーのホームページを、ネットにつながっていないそのノートパソコンで表示した。
「俺がしておいたようにA4用紙を横向きにセットしてあっても、この画面のここにプリンタのアイコンがあるだろ。これをクリックするだけで、ほかは何んにもしなくても、こうして縦向きに印刷される」
 ピーピー
「ほら。できないじゃん」
 その偉そうな態度、なんとかしろ。馬鹿にしか見えないよ。
 そう言ってしまえば、楽なのだが……
 彼女の性格を直しに来たわけでじゃない。そんなことは、俺にできるはずもない。
「俺のプリンタもA3まで印刷できる白黒のレーザープリンタだが、A3まで印刷できるプリンタは、A4用紙の場合は横向きにセットしても、こうして縦向に印刷されるようにできている」
「でも、いま、実際に印刷できなかったでしょ」
「だから、セットアップした段階では、これが印刷できていたんだよ(この意味、分かるか)」
「でも、いまは出来ないでしょ」
 馬鹿なのか、おまえは。
「問題は、どうして出来なくなったのかだろ? (まだ分からない?)」
 おまえがやったことで、四苦八苦している俺を相手に、勝ち誇ったような態度をする立場じゃないだろ、おまえは。

 彼女がセットしていたように、用紙を縦にセットした。
「じゃ、これで印刷してみな」
 ピーピー
「おまえがセットしていたようにしたって、できないだろ?」
「……」

「おまえが、その故障した小さいプリンタに合わせて設定した文書に、用紙セットの縦横を設定しているか何かじゃないのか? 調べてみな?」
 が、分からない。
「だったら、その設定も、ゼーンブし直してよ」
「そんなことまで、なんで俺が…… ちょっと待て」
 メーカーのホームページも印刷できなくなったのだから、それとも違うのか……

「他にいじったところはないのかよ?」
「ないけど」

 結局、自分で原因を探して解決するしかなかった。
「メガネは忘れてきたし、こんな面倒なことは俺も分からないかも……」
 説明書を見た。
 目次から探した箇所を見ただけだが、プリンタに用紙を縦向にセットしたか横向にセットしたかに関する項目は見当たらない。

 ということは、用紙が横向きにセットされているのか縦向きにセットされているのかは、プリンタ自体が識別しているのか!
 でも、さっき、用紙の向きを変えてセットし直しても識別しなかった。
 が、さっきは、スイッチONの状態のままで用紙の向きを変えた……
 スイッチをONにする際に、セットされている用紙の向きをプリンタのドライバがチェックしているのだとしたら!
 そうかもしれない……
 だとしたら……
 一旦、プリンタのスイッチをOFFにした。
 そして、用紙は横向きにセットし直し、プリンタのスイッチをONにした。
 コンカン
 プリンタを、パソコンが認識した。
「なにか印刷してみて」
「……」
「ん! ピーピーって鳴らない」
 プリンタは印刷の準備をしている。
「エラーじゃない。いった」
 排出された紙には印刷されている。
「……」
「分かった。これで解決だ」
「……」
 事実こそ雄弁だ。
 少し熱くはなった。が、憤慨しないで、自分がやるべきことに集中できたから解決できた。

「プリンタには異常はない」
 この意味、おまえには理解できないか……
「……」
 状況把握もできない。だから、何様かのつもりでいる。そうだとしたら、自分が考えていることの矛盾さえも把握できていないことになる。それでも、何様かのつもりでいる。そんな、おまえこそ、いわば異常なのだ。
 強がる必要は無いだろ、俺みたいな爺を相手に。素直になれ。

 私物ではないので、使うなとは言えない。
 原因や理由の説明、そんなものは必要ない。
「これからは、A4用紙は、横向きにセットすること。(知りもしないのに、説明書を見もしないで、勝手なことはするな)いいか?」
「はい……」
「それと、プリンタのUSBケーブルをパソコンにつないでから、プリンタの電源をONにすること」
「……はい」
「ONにしてからつないでもいいのもあるが、一発でつながればいいのだが、もたもたすると誤認識される可能性があるからから」

 まったく、余計なことをさせやがって。
 こんなことも知らず出来ないのに、説明書も見ないで、偉そうに振る舞ったり、何様かのつもりになっていて、俺を見下しさえする。それって、馬鹿なんよ。
「知らないなら、説明書くらい見ろよ。誰が移動したのかは知らないけど、ここにある」
「はい」
 聞く耳は持たないだろうが、説明書を見て、分からない字がある場合は辞典で調べてでも、自分で解決できるようになれば、他人に尻拭いをさせなくてもいい。だからこそ一人前だと言う。後は、おのずから熟練してゆく。

「じゃ、帰る」
「……ありがとう」
 おまえに、そう言われても、ちっとも嬉しくねえよ。その言葉も、口先だけの偽装としか思えない。馬鹿にされているような気さえする。

 おまえの態度や振る舞いは、無かったことにはできない。俺の記憶に残ったことは、俺自身も消せないんだから。

 単なる見栄っ張りだの、強情なだけの女は、俺は嫌いだ。改善してあげたいとも思わない。……そんなことは、俺にできるはずがないか。
 そっちのほうが、プリンタのことより、はるかに詳しい。俺が最も詳しいことなのだが……
 肝心なことを知らず出来ないのに、知ろうともしない。むしろ、すでに何様かのつもりでいて、それを維持しようとするから愚かなことばかりする。改善が必要だとは思ってもいない。だから、改善は無理だ。

 ああなる前に気づけて自分で改善もできた俺は、やっぱり恵まれていたのだ。
 だから、改善したくて葛藤している人が好きなのか、俺は。

「あ! プリンタのスイッチをOFFにしてから、USBケーブルを外せって言うのを忘れた……」
 プリンタだから、問題は無いか?
 
 
 

 コメント、ありがとうございます。

 これは、事実を基にしていますが、
 誇張して創作にトライした作品擬きです。
 やる気や集中力を取り戻すために、いわば開き直り気味のことにトライしてみました。

 完成させるほどの実力が、今は無いのが残念です。
 なので、説明しちゃうしかないのですが……

 理不尽に偉そうに振舞う彼女は、
自分が、説明書も見ずに、つまり勝手に余計なことをしたばっかりに、
その解決を、プリンタの責任者的立場にある私にさせることになった。
 が、結局、事実関係も認めざるをえなくなり、
 偉そうなことは言えなくなり、
 個人的には反省し始め、
 謝るよりは、明るい「ありがとう」の言葉を選びます。

 それに対して、私は、
 あくまでも自分が責任を持つべきことに徹するつもりだった。
 しかも、彼女のようになりつつあったが、早めに気づいて改善したつもりだった。
 つまり、彼女の気持ちは目に見えるように分かっていたから、軽視でき、
自分がやるべきことをやり遂げることもできた。
 が、心理や考えを左右している記憶は消せるものではなく、
 些細なことを基に、つい優越感を抱きそうになり、
 帰宅する際には、彼女側の粗捜しをして見下そうとまでした。

 という設定です。

 つまり、読んでくださった方が、最後まで読むと、もう一度読み返す。
 そして、私に対して、「おまえだって、彼女と大差ないってことじゃないか」と言ったら、
「我が意を得たり」ということになります。

 アイデアが浮かぶ都度、仕上げに近づけてゆく予定です。


 
カテゴリ : 草稿:読み切り

よし。モード切替だ。


 2012/03/02に、このブログを開設している。
 タグいじりをはじめ、その結果を見るために、試しに記事も投稿した。

 でも……、ランキング上位ばかりが優先的に表示される。

 FC2 ブログ > 新着記事 ←これクリックしないと、そもそも見れない。しかも、自分が投稿した記事は無い。

 FC2 ブログ > カテゴリー別 新着記事 10件だけ表示される。

 その後も投稿し、新着記事を確認。やっぱり、俺が投稿した記事は表示されない。
「え?! 投稿しただけでは、誰にも見てもらえないのか?」
 ヘルプ! そうだヘルプを確認しなきゃ。

新規エントリーに載せるための更新ブログの巡回は、180秒単位で行っており、例えば、新着記事数の枠が200とした場合、180秒の間に更新されたブログが210あった場合、余剰分の10のブログは掲載されません。

「じゃぁ、投稿したことを、誰かに知ってもらえるようにするには、どうすればいいんだ? このままじゃ、また閉鎖だ……」
 正確には憶えていないが、すぐ思い出せるのだけでも……、6回は繰り返している。

 そうなのです。kisuke(喜助)は、HNも毎回変えていましたが、ブログを開設しては閉鎖し、それを繰り返してきたのです。
 もちろん、千客万来になるようなブログにすることができませんでした。だからだったんですけどね。

 巡回ロボットしか来てくれないんじゃ……。

 kisuke(喜助)は、そう思ってのことだったようです。
 ですから、今回は、kisuke(喜助)にとっては、出鼻をくじかれたようなものだったのです。


 けれども、kisuke(喜助)は、まだ終わっていないタグいじりをしながら、トラックバックテーマという文字が、気になりはじめたのでした。そして、何気にクリックしたのです。

「ん? これって、トラックバックした記事だらけなのか!?」
 ということは……。これを頼りに、よそのブログを訪ねながら、足跡を残せば……。

 きっとそうだと思ったkisuke(喜助)は、そこに主が住んでいるわけではないよそ様のブログを、無断で覗いては足跡を残して帰るのでした。
 kisuke(喜助)が外で除雪や排雪をしている間にも、kisuke(喜助)が残した足跡を辿って訪ねてくださったのでしょう、kisuke(喜助)のブログにも見知らぬ人の足跡が残っていました。

「やっぱり。トラックバックテーマの記事を投稿すれば、自分のブログも見てもらえる!」

 とりあえず見てもらう、そのための努力も必要だったのだということを、kisuke(喜助)はやっと分かったのでした。

「じゃ、アクセスランキングにも参加しよう」

 この冬、kisuke(喜助)の在所は、豪雪でした。kisuke(喜助)は、散歩代わりに、さまざまなブログを徘徊しては足跡を残して帰ったのでした。
 kisuke(喜助)が早めに寝てしまってからでも、足跡も辿って訪ねて来てくださったのでしょう、その足跡は必ず訪ねることにkisuke(喜助)は決めたのです。

「ブログランキングにも、参加しちゃえ」
 思えば、以前は、こういう努力はしなかった……。

 そうだったのです。ブログはWebに開設しますが、その作業は自室で行うために、Webやブログでもkisuke(喜助)は相変わらず引きこもっていたような状態だったのです。

「勝手に覗き込んで足跡まで残してくるんだから……」
 足跡を辿って訪ねるだけではなく、お礼代わりに拍手をクリックしよう。もちろん、気に入ったブログなら、応援にランキングをクリックする。

 とりあえずでいいから自分のブログを誰かに見てもらう方法を憶えようと思ったkisuke(喜助)は、しだいに、単なるアクセスアップにはまっていったのでした。


 ところがです、訪ね先のブログが動画の貼り付けやプラグインが多いからなのか、kisuke(喜助)のPCの Internet Explorer がフリーズするわ、勝手にクローズしてしまうわで、大変でした。
 PCが不調になるたびに、kisuke(喜助)は思い当たる改善策を実施せざるをえませんでした。

「やっぱり、このPCに問題がある。今年で10年目だからな……」
 今のPCは、性能がアップした上に、かなり安くなっている。分割払いも可能だ。
 でも、意図的にアクセスアップさせて遊んでいるに過ぎないわけだから、このままだと、このブログも閉鎖することになる。

 kisuke(喜助)がそう思ったのは、自分のブログの拍手もランキングも、クリックは今一だったからでもあったのです。来訪はしてはくださるのですが、足跡を残すだけで帰る人が圧倒的だったのです。

「俺の、このブログは、それだけのブログでしかないのも事実だ」
 閉鎖すると、PCを買い替えても無駄になる。

「あ! せっかく来訪してくれた人を、俺が裏切っていたようなものだったのだ」
 思えは、拍手もランキングも、クリック数は少ないが、毎日ほぼ同じだ。ということは、ごく限られた人は毎日クリックしてくれていた……。
 経験し学習し理解することは、その性質上、千差万別になる。俺のブログに、興味を抱いてくれる人が限られていてこそ当然なのだ。

 そもそも、自分の心の整理をするために開設したブログでもある。
 ブログも、大事なのは中身だ。中身を見知りたいから、自分も訪ねるし、訪ねても来てくれる。その肝心な中身を疎かにしていた……。
「よし。中身を充実させる記事をそろそろ書こう」

 kisuke(喜助)は、やっと中身の重要さに気づいたのでした。
 けれども、中身がどんなに重要なものかは、kisuke(喜助)は経験したことはまだ無かったのです。

 欠かさず投稿し続けてきただけに、途切れさせたくない。
 そんなときには、トラックバックテーマを頼ればいい。もちろん、それだけ見てももらえるし、文章を書く練習にもなる。
 が、頼り過ぎると、肝心な中身を充実させる時間は減少する。放っておくと、生ものだと黴が生えたり腐ったりもする……。
 でも、書きたいことは、熟成に期待することだってできる。知的には未熟なんだから。
 むしろ、自己満足してしまうと……。

 満足? あ! 満足と言えば、ハードディスクのDドライブが満杯に近づき空きが少なくなっても、PCがモタモタし始めるのだった。

 気づいたことを、kisuke(喜助)は確認しました。

「やっぱり……。これを改善すれば、不具合も一つ改善される」

 それは、2012/3/24の夜のことでした。kisuke(喜助)は、Amazonを覗きました。
 BUFFALO スリム&ライト ポータブルハードディスク 500GB ルビーレッド HD-PET500U2-RD ¥5,280円。消費税込み、送料無料。
 kisuke(喜助)は、価格.comでも確認しました。

「Amazonが最安値だ。しかも送料無料だ」

 念のために、メーカーサイトも確認しのでした。

 販売終了商品か……、USB2……。でも、500Gで新品なら、このPC用には十分過ぎる。
「すいませ~~ん。これ、くださ~~い」

 そう言いながらkisuke(喜助)は、 1-Click で購入したのでした。

 翌朝。2012/03/26。期待しているkisuke(喜助)は、Amazonの配送状況を確認していました。
 輸送中 お届け予定日: 火曜日 2012/03/27

「夏なら翌日配達だけど、ここ数日、雪が降っているからな……」

 ついでに、買った商品を再確認したのでした。

 この商品は現在お取り扱いできません。

「やった! 完売寸前に買えたのだ。ラッキー!」


 あ、あ、あ……、またこんなことばかり長々と書いて……。
 そろそろ、中身を充実させることに切り替えなきゃ。
 でも、せめて今月一杯は、アクセスアップを……。
 が、もう本格的な雪解けシーズンにはいってる……。雪が無くなれば、こうしていられる時間は激減するし。
「よし。モード切替だ」

「宅急便で~~~す」
「え、あ、は~~~い」
 お届け予定日は明日なのに……。もう来ちゃったのか。


 ああ、kisuke(喜助)は、いつになったら中身がこんなに重要だったのかと納得するのでしょうねぇ。

 

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

kisuke(喜助)

Author:kisuke(喜助)
 生きていることを尊重し、思考力や理解力を信頼し、それらを理解し合えればいいのだが……
 むしろ、懐疑や不信感に囚われ、不都合なことは避け、言い訳もし、隠し偽りもし、強情を張り、相殺し開き直り、自分でも認め難いことをする。
 尤もらしく見せかけもし、本当らしく工作し、優れたことであるかのように競い争い、私利私欲を貪り砦に籠り、理解し合うことを困難にしている。
 
 投稿は毎月2回(ノルマ)です。

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